コロナ禍で「巣ごもり」が続くなか、大手食品メーカーが常温で長期保存できる総菜の品ぞろえを強化している。「調理の手間を省きたい」という消費者が増えているとみて、ニーズの取り込みをねらう。
日本ハムは「あじわいレンジ」というレトルトの新ブランドを立ち上げ、3月10日に肉じゃがやすき焼きなど6種類の商品を発売する。賞味期限は常温で90日間。トレーごと電子レンジで1分半温めれば食べられる。同社はこれまでレトルトカレーやオムライスの常温食品を扱ってきたが、約5億円かけて新商品に対応する設備を導入した。「『買い置き』が増え、冷蔵庫を使わずに保存する商品が求められている」(小村勝マーケティング推進部長)という。
伊藤ハムも「若鶏と野菜の黒酢あん」や「チーズのリゾット」など、常温保存の総菜を新たに投入する。通常の調理では一手間かかるおかずやどんぶりの具が中心で、長いものだと賞味期限は240日間ある。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた昨年春から夏ごろは、自宅で調理を楽しむ傾向が続いた。焼きそばやチャーハンなど大人数分をつくれる料理へのニーズも高まった。だが秋以降は、ラーメンやうどんなど一人で簡単にできる商品がよく売れているという。
春名公喜・事業戦略統括部長兼マーケティング部長は、「毎食のメニューは負担の少ない方へシフトしている。洗い物がいらない点も好まれるようになっている」と分析している。(加茂謙吾)
最終更新日:2/4(木)11:30 朝日新聞デジタル