東京都江東区の豊洲市場に隣接する観光施設「豊洲 千客万来」が2024年2月に開業を迎える。築地市場の移転にあわせて東京都が12年に基本方針を明らかにして以来、曲折を経ての開業となる。
「豊洲 千客万来」は、もともと築地市場の豊洲移転にあたり、東京都が12年の基本方針で「築地特有のにぎわいを継承・発展させ、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出す」として整備を表明。新交通システム「ゆりかもめ」市場前駅近くの都有地1・7ヘクタールを事業者に貸し出し、飲食や物販などの施設とする計画だった。
当初予定されていた事業者が撤退した後、万葉倶楽部は再公募を経て16年に事業者に選ばれた。都は都有地約1・1ヘクタールを月額610万円で50年間、事業者に貸し付けている。同社は170店舗が入ると都に提案していたが、今年9月時点での店舗数は半数以下の約70にとどまる。
◇「にぎわい創出できるよう努力」
万葉倶楽部は「当初の計画より一つ一つの区画を広めに整備しており、施設内で空き店舗が散見されるような状況にはならない。70店舗でも十分、にぎわいを創出できるように努力する」としている。
一方、新たな集客拠点整備を築地からの市場移転受け入れの条件としていた江東区の担当者は取材に「事業者の説明から、飲食店や物販が立ち並ぶ横丁の雰囲気を想像していた。予定の半数以下というのはあまりに少ない」と困惑。「開業までに誘致の遅れを取り戻してほしい」と語り、テナント誘致交渉の進展に期待する。【秋丸生帆】
最終更新日:10/14(土)14:52 毎日新聞