百貨店大手の高島屋が2024年7月末にも岐阜店(岐阜市日ノ出町)を閉店する方針を固めたことが13日、関係者への取材で判明した。郊外型ショッピングセンター(SC)をはじめとする他業態との競争激化や中心市街地の集客力低下、店舗の老朽化などで売り上げ不振が長期化していたことが背景にあるとみられる。
関係者によると、閉店後の店舗跡の活用方針や社員とパートを合わせた従業員189人(2月28日現在)の雇用については他店舗への配置転換を含めて検討するとみられる。
高島屋は子会社と関係会社の運営分も含め、国内外で計25店舗を展開。日本橋店(東京都中央区)や大阪店(大阪市)、横浜店(横浜市)など都心部に大型店舗を擁するのが強み。他方、不採算の郊外店舗の整理も加速しており、2020年に港南台店(横浜市)、23年1月には立川店(東京都)を閉店している。
高島屋岐阜店は1977年9月に開業。岐阜市の中心市街地として知られる柳ケ瀬商店街という好立地を生かし、県内唯一の百貨店として地元住民に親しまれてきた。
その後、郊外住民をターゲットに大規模SCが相次いで進出していることや、JR名古屋駅ビルにあるジェイアール名古屋タカシマヤ(名古屋市中村区)と商圏が重なることなどから経営環境が悪化。岐阜店を運営する完全子会社の岐阜高島屋(岐阜市)の23年2月期決算の最終(当期)損益は3161万円の赤字だった。
高島屋各店ではインバウンド(訪日外国人)の回復を背景に東京や大阪の店舗で売り上げが伸びる一方、岐阜店では月次売上高が5月以降5カ月連続で前年同期比マイナスとなっている。
岐阜店を巡っては古田肇県知事と岐阜市の柴橋正直市長が今月3日、高島屋の鈴木弘治会長と都内で意見交換している。【太田圭介】
最終更新日:10/13(金)15:44 毎日新聞