厚生労働省は、中小企業の働き手に限ってきた休業支援金の対象を大企業にも広げる方向で検討を始めた。
この支援金は、新型コロナウイルス禍で仕事が休みになったのに、休業手当を受け取れない働き手のための制度。営業短縮の影響でシフトを減らされたのに休業手当をもらえない人の中には、勤め先が大企業のために申請できないケースがある。大企業も対象にしてほしいとの声が出ていた。
先月29日には、大企業の非正規の働き手らが菅義偉首相と面会し、大企業への対象拡大を訴えていた。
また緊急事態宣言の延長を受け、休業手当を出した企業を支援する雇用調整助成金(雇調金)は今の拡充措置を4月末まで続ける。期限を「緊急事態宣言が全国で解除された月の翌月末まで」としていた。その後は雇用情勢が大きく悪化しない限り、原則として段階的に縮小する方針。
今の特例措置では上限額を働き手1人あたり1日1万5千円に引き上げている。企業規模や売上高の減少の度合いなどによって、その一部や全額を助成している。
休業に伴う働き手の不利益を和らげるほか、新たな雇用のあり方を探る企業への助成措置もつくる。雇用を維持しつつ一時的に他社などで働いてもらう「在籍型出向」に取り組む企業は、出向元や出向先企業の人件費負担などを支援する産業雇用安定助成金を受けられる。離職期間3カ月以上で同業経験のない人を雇った企業には、試用期間(最大3カ月)の賃金を最大月4万円出すトライアル雇用助成金がある。
厚労省によると、新型コロナウイルスの影響で解雇や雇い止め(見込みを含む)にあった人は1日時点で8万4883人。政府は助成金の拡充措置の延長などで打撃を和らげたい考えだ。(吉田貴司)
最終更新日:2/3(水)8:38 朝日新聞デジタル