政府が2日、緊急事態宣言の延長を決定し、営業時間短縮の継続を求められる飲食店などから落胆の声が上がった。自粛生活の長期化が消費や雇用に打撃を与え、1~3月期の実質国内総生産(GDP)は10%を超える大幅なマイナス成長になるとの見立ても出ている。持ち直しかけた日本経済が「二番底」に落ち込むのは避けられそうもない。
「今回の延長で社員が精神的に折れないか心配だ」
居酒屋チェーン「塚田農場」などを展開しているエー・ピーホールディングスの担当者は肩を落とした。
宣言の再発令で店の7割を休業し、残る3割は政府の要請通り午後8時までの時短営業を続けるが、売り上げは通常時の3割程度に落ち込んだ。宣言延長で経営体力は刻々と削られる。
ビジネスホテル「ワシントンホテル」などを運営する藤田観光の担当者は「1カ月の延長後に宣言が解除されるのか分からない」と漏らす。再発令後は対象地域以外でも人の動きが止まり、客足が激減。国が休業手当の一部を補填(ほてん)する雇用調整助成金を使い従業員を一時帰休させたが、いつ呼び戻せるのか分からない。
JCBとデータ分析会社ナウキャストがクレジットカードの決済額から集計した1月前半の消費データでは、外食は前年同時期比46%減と前回宣言が出ていた令和2年5月前半以来の減少幅になった。旅行や娯楽などの減少幅も相次いで昨年末から拡大した。
今回の延長で景気が一層冷え込むのは避けられない。SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、1カ月の延長を織り込み1~3月期の実質GDPは前期比年率11・5%減のマイナス成長になると試算している。
ワクチン接種の開始で4~6月期以降は回復基調に戻ると期待されるものの、感染力が強い変異株の出現などで第4波、5波が起きるリスクは払拭できない。
霧が晴れない日本経済。だが日本航空幹部は「今の予約状況はボトム(底辺)に近い。宣言解除は上振れ要素になる」と前を向く。反転攻勢の時を企業はジリジリしながら待っている。
最終更新日:2/2(火)21:15 産経新聞