経済産業省資源エネルギー庁が21日に発表したレギュラーガソリン価格(19日時点)で、長野県は前回調査(11日時点)に比べて4円70銭安い185円20銭だった。2週連続で4円台の大幅な値下がりとなり、今回の値下げ幅は都道府県の中で4番目に大きかった。長野県は5月下旬から今月4日まで16週連続で全国最高値を記録したが、19日時点の今回調査で高い方から10番目に順位が下がった。販売事業者が大幅な値下げに踏み切った背景には、県民の「厳しい目」があるとの声がある。
相馬商事(佐久市)が経営する長野市若槻東条の「ENEOS セルフ若槻SS」。午後8時ごろ、給油に訪れた自営業の男性(50)は「あっという間に180円前後に下がった」と驚いた。県外の知人からは「長野はガソリンが高いから遊びに行かない」と言われたという。値下げを歓迎しつつ、「国の補助金が入っているというが、どうやって価格が決まるのか知りたい」と首をかしげた。
同給油所では16日、レギュラー価格(非会員)を5円値下げして181円にした。同社石油事業部は「採算が取れるぎりぎり」と説明。念頭に置いたのは顧客の声で、「少しでも顧客の負担が小さくなる方向で決めた」とした。
県内のある販売事業者によると、「16週連続全国最高値」だったことが業界の「汚名」となり、値下げに影響しているという。阿部守一知事は6日、「県として今の状況は放置できない」と発言。12日には県石油商業組合(長野市)と意見交換会した。
全国的に在庫が残っているため、事業者はまだ大幅な値下げはやりにくいとされる。だがこの事業者は、長野では県民の不信感が募っており、「多少損をしても安くしないといけないという心理が働いている」と打ち明けた。(渡辺司馬)
最終更新日:9/22(金)17:01 信濃毎日新聞デジタル