需要が激減 苦しむ鶏卵業界

鶏卵業界は需要の激減に苦しんだ。汎用性が広いため、コロナ禍で最も悪影響を受けた食品の代表格といえる。内食回帰で、量販店でのパック卵の売れ行きは好調だが、中食、外食向けは激減。
 外出自粛に加え、インバウンド需要の消滅も痛手になった。
 「もともと供給過多」(鶏卵大手)の中で、市場の約50%を占める業務用の需要が激減したため、卵価は一層下落してしまった。
 鶏卵大手は羽数を数十%減らして対応したものの、卵価はいまだ前年並みには戻っていない。また利益商材であるべきブランド卵も標準卵の卵価が低いため、購買が進んでいない。
 鶏卵業界は長年にわたり中小・零細企業の後継者不足による廃業、飼料大手、商社主導による合併などにより大手の寡占化が進んできたが、これに拍車をかけたのが五輪開催を見込んだ大手の販売戦略だ。
 また、首都圏をはじめ大都市圏をターゲットにしたイセ食品、アキタなど鶏卵大手がここ数年、生産拠点を拡大した結果、その傾向は一層顕著になっていた。
 これを裏付けるように、この5年間の東京鶏卵相場は下落の途にある。2016年、2017年は年間平均卵価が200円台を超えていた(2017年207円)が2018年は180円、2019年は173円に。今年度は8月末までの平均で172円とさらに下落し、8月単月は過去5年間で最も安い145円をつけた。
 鶏卵は10-12月が最需要期。
 「現在でも赤字。せめて200円台に戻らなければ」(同)が生産者の本音だったものの、西日本で鳥インフルエンザが発生し被害が生じた上、供給過多が解消されることなく年を越え、年間平均(M)も前年を下回る170円となった。生産増強を進めてきた大手が今後も手を緩める可能性は低く、体力勝負がさらに厳しい中で継続することになる。

最終更新日:1/31(日)9:16 食品新聞

引用:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6383773

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