経済協力開発機構(OECD)は12日、日本の教員給与が加盟国の平均を下回ったとする報告書を発表した。日本では公立学校教員の採用試験の受験者数が減少し続けているが、OECDは待遇面への戦略的投資によって教職の魅力を高めるべきだと指摘した。
報告書は「図表で見る教育2023」。15年間の勤務経験のある公立学校(高校段階)教員の法定給与(税引き前)を比較した。日本は4万7349ドルで、加盟国平均の5万3456ドルを6107ドル下回った。
比較できる36カ国・地域の中では高い順で23番目だった。最高はルクセンブルクの11万2008ドルで、2番目に高かったのはドイツの9万6742ドル、3番目はオランダの8万4862ドル。最低はスロバキアの1万9342ドルだった。
■教員の待遇面への投資が子どもの学力向上に寄与
OECDのアンドレアス・シュライヒャー教育・スキル局長はこの結果について、「給与額は教職の魅力を決める重要な要素だが、日本では(教員の給与の)競争力が乏しい状況だ」と述べた。
そのうえで、日本政府が近年進めているような、学級ごとの子どもの数を少なくして教員を増やす政策よりも、教員の待遇面に戦略的に投資する政策の方が子どもの学力の向上につながるとのデータがあるとして、「教職の魅力を高め、教員の質を高めることが重要」と指摘した。
日本の公立学校教員の給与制度は「教員給与特措法」に基づき、残業代を払わない代わりに基本給の4%を一律に上乗せ支給する仕組みになっている。文部科学省はこうした制度を手直しすることで待遇改善につなげたい考えで、現在、文科相の諮問機関、中央教育審議会が制度設計について議論している。(高浜行人)
最終更新日:9/13(水)19:41 朝日新聞デジタル