金融庁は31日、中古車販売大手ビッグモーター(東京)による保険金の不正請求問題を受け、同社と損害保険7社に対し、保険業法に基づく報告命令を出した。
ビッグモーターについては、保険代理店としての運営状況などを調査。損保7社はビッグモーターに自動車保険の販売を委託しており、取引の実態解明とともに、契約者保護の観点から問題がなかったかどうか調べを進める。
命令はビッグモーターに加え、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の損保大手4社と、共栄火災海上保険など中堅3社が対象。問題があった場合、金融庁は業務改善命令や代理店登録の取り消しなどを検討する。
関係者によると、損保各社はビッグモーターに保険販売を委託しているほか、保険契約者の自動車事故に際し、ビッグモーターの修理工場を提携先として紹介。これに対し同社は、自動車購入者に義務付けられている自動車損害賠償責任保険(自賠責)を紹介台数に応じて割り当てていた。
また、東京海上、三井住友海上、損保ジャパンはこれまでビッグモーターに計43人の社員を出向させ、このうち損保ジャパンは2011年以降計37人と突出。同社は出向者を通じ、不正の可能性を認識しており、金融庁は同社の関与の有無についても厳しく調べる。
ビッグモーターを巡っては、福井県の店舗で架空の保険契約を結んだ疑惑も浮上。展示車両や廃車予定車両で保険契約などを締結したケースもあったとされる。
損保ジャパンは31日深夜、「保険金の不正請求を検知・防止するための態勢や、出向者に係る事実関係などを金融庁に報告する予定」とのコメントを発表した。
最終更新日:7/31(月)23:42 時事通信