米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のスポーツ報道が大きく変わる。10日、スポーツ部を解散し、スポーツチームや試合に関する取材や報道は、傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」に頼ると発表した。ジ・アスレチックはNYTが昨年、5億5千万ドル(約778億円)で買収した後に有料会員が伸びているが、経営は赤字が続き、社内からも方向性を問う声があった。
NYTによると、編集幹部は社内向けに、今回の決定について「我々のスポーツ報道の進化」と位置づけるメモを送った。今後、NYT本体はチームや試合の報道を減らしつつ、「スポーツがお金や権力、文化、政治、社会とどう接点を持っているのかを伝える、独自で影響力の大きいジャーナリズムに集中する」と説明したという。
NYTのスポーツ部に所属する約35人の記者や編集者は他の部署に移る予定で、スポーツ部は秋までになくなる見通しという。多くの米主要メディアと同様に、NYTは既にスポーツ報道を縮小しており、試合結果などを伝える記事は少ない。
ジ・アスレチックは有料スポーツ専門サイトとして2016年に創設された。各地の地方紙で働いていた記者の採用などを通じて成長し、有料会員の獲得に力を入れるNYTが22年に買収した。
NYTによると、ジ・アスレチックは23年3月時点で有料会員が300万人超に上り、1日あたり約150本の記事を発信している。ただ、23年第1四半期は780万ドル(約11億円)の赤字で、6月にはリストラを行うなど、経営は厳しい面もある。
最終更新日:7/11(火)15:28 朝日新聞デジタル