生後1カ月以内の新生児を記念写真に収める「ニューボーンフォト」が人気だ。しかし、需要の拡大とともに知識不足のまま新規参入するカメラマンが増え、気付かずに赤ちゃんを危険にさらしかねない撮影が増えているとの指摘もある。「インスタ映え」よりも気を付けるべきこととは。
ニューボーンフォトは、赤ちゃんをおくるみにくるんだり、かごに入れたりと趣向を凝らし、生まれたてのかわいい姿を記録に残すもの。欧米発祥とされる。
啓発活動に取り組む一般社団法人ニューボーンフォト協会の竹村美紀代表理事はある日、インスタグラムの投稿を見て、怒りを覚えた。講師を名乗る男性が、ニューボーンフォト勉強会を開いたという内容だ。その男性は、カメラのレンズフードを装着したままで、ストラップも手に巻いただけの姿……。本来は、レンズフードを外し、ストラップは首にかけるべきだ。
竹村さんは「横に赤ちゃんがいて機材が落ちたら、けがどころじゃすまない。20年働いてきたからって簡単に撮れるイメージがあるかもしれないが、それは違う。危機意識が足りないフォトグラファーがいる」と訴える。
長女の出産を機に、ニューボーンフォト専門フォトグラファーになったマギ・フィスティックさん(38)は、現在は日本で活動しており、同様の懸念を抱く。
例えば、赤ちゃんにおくるみを巻いた状態で壁にもたせかけたり、かごに入れて大人がそばを離れたりする方法はリスクを伴うという。通常は赤ちゃんが寝ている間に撮影するが、起きて動こうとした場合、倒れかねないからだ。かごが傾いて落ちる可能性もあるという。
ニューボーンフォト協会や、マギさんが2022年4月に設立した日本ニューボーンフォトセーフティー協会(JNSA)は、フォトグラファー向けに新生児の特徴や安全な撮影方法を学ぶ講座を開設し、ウェブサイトでは十分な知識を得たフォトグラファーを紹介。ニューボーンフォトの撮影を依頼したい家族が選択しやすいよう情報を提供している。
マギさんは「ニューボーンフォトが悲しい事故や体験にならないよう、安全第一に撮影してほしい」と訴えている。【阿部絢美】
最終更新日:7/10(月)21:34 毎日新聞